
香母酢(カボス)の基本情報
カボス(Citrus sphaerocarpa、香母酢)は、日本を代表する香酸柑橘のひとつで、大分県を中心に広く栽培されています。果実は鮮やかな緑色で、さわやかな酸味と香りが特徴です。料理の引き立て役として魚料理や鍋物、焼き物など幅広く使われ、日本の食文化に欠かせない存在となっています。収穫期は8月頃から始まり、秋口には黄色く熟していきます。
カボスは常緑性の小高木で、葉は厚みがあり光沢を持っています。比較的育てやすい柑橘類の一つですが、剪定や肥料、水やりを適切に行わないと果実の付きが悪くなったり、樹形が乱れやすくなります。特に、枝が込み合うと日当たりや風通しが悪化し、病害虫の被害を受けやすくなるため、定期的なお手入れが重要です。
また、カボスは温暖な気候を好みますが、寒さにはやや弱いため、冬季には防寒対策が必要です。家庭で栽培する際は、鉢植えにすれば移動もできるため管理しやすく、庭植えの場合は日当たりと排水の良い場所に植えるのが理想です。
「いつ剪定すれば良いのか」「肥料はどの時期に与えるべきか」といった疑問を持つ方が多いですが、適期を押さえてお手入れすることで毎年安定して実を収穫できます。ここからは、カボスのお手入れ適期や方法を詳しく解説していきます。
香母酢(カボス)のお手入れ適期
カボスは季節ごとにお手入れの仕方が変わります。それぞれの時期に合った剪定や肥料の管理を行うことで、健康な木を育て、実を多く収穫できます。
🌸春(3〜5月)
春は新芽が伸び、花芽がつき始める大切な季節です。この時期に正しく管理することで、その年の果実の出来が大きく変わります。
枯れ枝や弱い枝を軽く剪定して風通しを確保
開花前に緩効性肥料を施して養分補給
アブラムシなど新芽を狙う害虫に注意
🌞夏(6〜8月)
夏は実が膨らみ始める重要な時期で、乾燥や高温対策が欠かせません。
乾燥防止のために敷きわらやマルチングを行う
水切れに注意し、土が乾いたらしっかり水やり
実が多すぎる場合は間引いて樹の負担を軽減
🍁秋(9〜11月)
秋は果実の収穫シーズンです。収穫後のお手入れも忘れないようにしましょう。
熟した果実を順次収穫し、木に負担をかけない
収穫後にお礼肥を与えて樹勢を回復させる
冬に備えて不要な枝を整理し、樹形を整える
⛄冬(12〜2月)
冬は成長が緩やかになる休眠期。寒さ対策を中心に管理します。
寒風を避けるため防風ネットや不織布で保護
落ち葉や雑草を除去し病害虫を防ぐ
鉢植えは軒下や室内に移動して防寒
香母酢(カボス)のお手入れポイント
カボスを健康に育てるためには、剪定・肥料・水やり・病害虫対策といった基本管理をバランス良く行うことが重要です。
🌿剪定の仕方
剪定は主に春と秋に行います。樹形を整えるだけでなく、風通しや日当たりを改善する目的もあります。
込み合った枝を間引き、光が入るようにする
内向きや下向きに伸びる枝は早めに除去
毎年少しずつ剪定し、大きな切り戻しは避ける
🚫注意点
剪定や施肥の際は、木を傷めないように気を付けましょう。
太い枝を切る場合は切り口に癒合剤を塗布
一度に切りすぎず、樹勢を弱めない
果実がついている枝は収穫後に剪定
🫘肥料・水やり
果実を安定して収穫するためには、適切な施肥と水やりが欠かせません。
春の芽出し前と秋の収穫後に肥料を与える
夏場は乾燥を防ぎ、適度に水を与える
鉢植えの場合は土が乾きやすいので小まめに確認
🪲病害虫対策
カボスはカイガラムシやアゲハチョウ幼虫などの被害に遭いやすいです。
新芽や果実を定期的にチェック
害虫は見つけ次第、手で取り除くか薬剤で防除
落ち葉や実を放置せず衛生的に管理
よくあるトラブルと解決策
カボス栽培では「実がならない」「実が小さい」「葉が黄色くなる」などのトラブルがよく見られます。実がならない場合、多くは剪定のしすぎや肥料不足が原因です。特に枝を切りすぎると花芽が減り、翌年の収穫量に大きく影響します。対策としては、毎年少しずつ樹形を整える「弱剪定」を心がけることが大切です。
また、実が小さい原因は養分不足や実のつきすぎです。果実が多い年は摘果を行い、1つの枝に数個程度に減らすことで、残った実を大きく育てられます。葉が黄色くなるのは窒素不足や水不足が考えられるため、肥料をバランス良く与え、土壌の水はけを改善しましょう。
さらに、カイガラムシやアゲハチョウの幼虫など害虫の被害もよくある問題です。定期的に葉裏や枝をチェックし、早めに駆除することが被害拡大を防ぐポイントです。
まとめ
カボスは家庭でも育てやすく、毎年香り豊かな果実を楽しめる魅力的な果樹です。適期に剪定や肥料を与えることで、安定して収穫できます。